神戸が舞台の小説

神戸・続神戸のレビュー|神戸ってこんな胡散臭い街だったんだ?

神戸・続神戸

スルスルと進むのに読み応えある作品でした。

戦時下と戦後の神戸での生活を描いた『神戸・続神戸』は、俳人の『西東三鬼』が経験したほぼノンフィクションのディープなKOBEを知ることができます。

第2次世界大戦真っ最中の昭和17年、色々なモノから逃げて東京から神戸に移ってきた主人公は、トアロードにある朱色のホテルで暮らし始めた。

控えめに言って変人(そしてクズ)の主人公の周りには、やはり変人ばかりが集まってくる。

ふんどし一丁で路上をクルクル回り続ける謎の物乞いや、大ボラ吹きのエジプト人から始まって、次から次へと現れる国籍バラバラの奇妙な人々。

変人たちが繰り広げる日常離れした日常がぎっしり描かれる。

昭和の割には文章が読みやすくて、思わず吹き出してしまうユーモアが散りばめられてます。

『神戸』は戦中・終戦頃、『続神戸』は戦後の神戸を描いていて、文章の雰囲気が少し違います。

『神戸』はほぼノンフィクションにもかかわらず、ひとつひとつのエピソードが小説のように広がって独特の雰囲気が楽しめます。

『続神戸』は『神戸』ほどの深みがなく、普通のエッセイという感じ。

両編あわせて137ページなので、1日あれば読めるボリュームです。

 

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『神戸・続神戸』の主人公は著者自身

主人公は著者の『西東三鬼(さいとうさんき)』本人です。

西東三鬼は明治生まれの俳人で、京大俳句事件(俳人への言論弾圧)で逮捕(執行猶予かつ執筆活動停止命令)されたこともある人物。

当時の俳壇では実力者だったようです。

ただ『神戸・続神戸』では俳句のことはそれほど出てきません。

作中では神戸に移住してきた理由をこう述べています。

昭和17年の冬、私は単身、東京の何もかもから脱走した。

逮捕されて執筆活動停止をくらったことも『東京の何もかも』の一つでしょうが、もっと大きな理由もありました。

西東三鬼という人は『控えめに言って変人』だとこの記事の最初で書いたけど、この令和時代の感覚で言葉を選ばずに言うと大いなるクズ男。

奥さんも子供もいるのに、ある女性に「子供を作ってくれ」とせがまれ、「えーそんなん無理~」と言いつつやることはちゃっかりやる。

そして男の子を産ませていますw

で、なぜか「婿」としてその女性の故郷に挨拶にいき、親戚一同集められて祝宴を開かれ、田舎風のもてなしが肌に合わずお腹を下したりします。

で、自分だけ東京に戻り、その翌年神戸に遁走してきたらしい。

重ねて言いますが、東京に妻子がいます

その妻と婚約中も、他の女性と深い仲になり、乞われて家族へ挨拶に行ったりしています。

何度同じことを繰り返しているのかw

で、神戸ではまた別の愛人と同棲しています。

神戸では「金がない金がない」といいながら、仕事らしい仕事もせずホテルで呑気に遊び暮らしてるようだけど、一応、商売はしていたようですね。

ちなみに40代後半で徴兵対象ではなかったそう。

読みながら呆れかえるけど、不思議に嫌悪感は湧かない不思議な人物です。

『神戸・続神戸』に出てくるヘンな人達

主人公が変人なので、絡んでくる人たちもヘンな人達ばかりです。

神戸は戦時中でも多くの外国人が住んでいました。

主人公が寝床にしているホテルにも住み着いている外国人がたくさん。

エジプト人、ロシヤ人、トルコタタール人、台湾人、朝鮮人、そして日本人。

ホテルの外にもヘンな人はいます。

見たところ長身の普通のルンペンだが、彼は気に入りの場所に来ると、寒風が吹きまくっている時でも、身の廻りのモノを全部脱ぎ捨て、六尺褌一本の姿となって腕を組み、天を仰いで棒立ちとなり、左の踵を軸にして、そのままの一で小刻みに身体を回転し始める。

現在のトアロードでこんな人見たことないですねw。

一番最初に登場するエジプト人『マジット・エルバ氏』は、ヨーロッパ、アメリカ、南米と流浪の末、神戸滞留10年目。でも英語も日本語も下手糞。

主人公と同じく一応は商売をしているけど、怪しいことこの上なく、時々生肉の塊を仕入れてくる。

主人公の部屋で、ビールを飲みながらレコードを鑑賞するシーンがとてもとても印象深いです。

恐ろしく掃除好きの台湾人や、広東人なのに熱狂的な弘法大師信者や、病気で瀕死の女性にお客をとらせてその隣でパンとオイルサーディンを楽しむロシア老女や、とにかく色んな人がいっぱい。

戦時中で貧しい人も多く、身体を売って暮らしている女性もあふれているのだけど、なんというか、あまり悲惨な感じはしない。

『生き抜く意思』みたいなのが、カラッとした雰囲気で漂っている不思議な世界です。

主人公を含めて国というものに縛られない『コスモポリタン』達ばかりで、そして、決して昨今の『グローバリスト』ではないんですよね。

『神戸・続神戸』のホテルは実在した?

主人公たちのねぐらになった朱色の国際ホテルはもちろん実在していました。

神戸中央図書館のレファレンス事例があって、そのホテル名は『トーア・アパート・ホテル』で、今の「中山手通2丁目4-1」辺りに所在していました。

今年2月オープンしたばかりの『セブンイレブン神戸トアロード店』辺りみたいです。

『神戸・続神戸』にもたびたび登場する『パパさん』ことホテルの老支配人の息子さんが、神戸新聞で当時の思い出を語っているそう。

神戸新聞平成5年(1993)5月30日17面「西東三鬼・イン・ミステリアス神戸 これが「国際ホテル」の真相 支配人の子息が名乗り出る」

レファレンス共同データベースより引用

時間がある時にもう少し調べてみます♪

このホテルが神戸大空襲で焼けた後、主人公は山本通りの洋館に引っ越しています。

『三鬼館』と呼ばれ昭和23年まで住んでいたそう。

この洋館はもうないけれど、これももう少し調べてみます♪

『神戸・続神戸』のまとめ

本当に面白い本でした。

神戸という街の混沌とした胡散臭さが魅力的に描かれています。

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